譲渡所得は損益通算可能!注意すべきポイントは?
確定申告の際に知っておきたい税金の計算方法のひとつが損益通算です。
利益と損失を一括して計算できる制度ですが、対象外となる収入もあるため注意が必要です。
本記事では、損益通算の基本的な仕組みと譲渡所得における損益通算のルールについて解説します。
損益通算の基礎
損益通算は年間の利益と損失をひとつにまとめて計算できる制度です。
サラリーマンが副業を始めた場合を想定してみましょう。
たとえば、副業で赤字が出た場合でも、損益通算を利用することで、給与収入と合わせて計算することができ、税金の対象となる金額を減らすことができます。
譲渡所得は損益通算が可能
土地、建物、株式などを売却して得た収入を譲渡所得といい、譲渡所得は損益通算を活用できる収入のひとつです。
以下の計算式で算出することができます。
課税譲渡所得金額 = 収入金額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額
損益通算を使えば、譲渡所得の赤字分を別の収入の黒字から差し引けます。
ただし、対象外となる譲渡所得もあるため注意が必要です。
損益通算の対象外となる譲渡所得
譲渡所得の中には損益通算ができないものがあります。
税金を算出する際に間違いやすい3つの譲渡所得について説明します。
生活に必ずしも必要とは考えられない資産に関する譲渡所得
日常生活では使用しない資産の譲渡所得は損益通算の対象外です。
次のような資産は、他の収入と相殺することができません。
- 競走馬などのギャンブルに関連する動産
- 別荘など娯楽や保養のために持っている不動産
- 趣味の収集品など娯楽目的で所有している資産全般
- 生活のための動産の中で、30万円を超える高額な貴金属・美術品・骨董品など
これらは生活に必要不可欠な資産とは見なされないため、売却時に損失が出ても税金計算で優遇されることはありません。
申告分離課税の株式等に関する譲渡所得
株式取引の損益は、他の所得とは別枠で計算する申告分離課税が適用されます。
株式の売却で生じた損失は、株式取引以外の収入と相殺することはできません。
同様に、株式取引以外の損失を株式の利益から差し引くこともできません。
ただし、上場株式の売却による損失には特例があります。
確定申告の際に申告分離課税を選んだ場合、上場株式の配当金や利子収入から損失分を差し引くことが可能です。
この制度を活用することで、株式投資に関連する税負担を調整できます。
一定の居住用財産以外の土地・建物などに関する譲渡所得
不動産の譲渡損失は原則として他の所得とは損益通算できませんし、他の所得の損失を不動産売却益から差し引くこともできません。
ただし、5年以上住んでいた自宅を売却した場合は例外です。
条件を満たせば他の収入との相殺が可能な上、損失を他の所得から相殺できない場合は、売却した次の年から3年間にわたって繰り越すことができます。
まとめ
損益通算は税金の計算を最適化できる重要な制度です。
同じ年に発生した利益と損失を相殺することで、納税額を適切に調整できます。
ただし、趣味目的の資産売却、株式取引、不動産売却など、一部の損失は損益通算の対象外です。
資産を売却する際は事前に税金の計算方法をしっかりと確認しましょう。
制度を正しく理解して活用することで、適切な税務管理が可能になります。
損益通算に関して悩みや疑問がある場合は、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。
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