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加算税の種類や申告が必要なケースについて

相続税申告をしないとどうなる?
加算税の種類や申告が必要なケースについて

すべての相続人に相続税の申告が必要になるわけではありません。

しかし申告義務があるにもかかわらず「申告はしなくてもいいだろう」と放置していると大きなトラブルを招くことになるかもしれません。

 

例えば無申告加算税が課されたり、最終的には財産が差し押さえられたりもします。ここでペナルティの内容を解説しますので、相続税申告をしないことのリスク、そしてどんな方が申告をしないといけないのかを知っておきましょう。

相続税の申告をしないと無申告加算税がかかる

本来相続税の申告をしないといけない場面でこれを無視していると、「無申告加算税」を課されてしまいます。

本来納めるべき税額の納付義務が残ることはもちろん、その税額の大きさに対応して、ペナルティとしての税額徴収も行われるのです。

 

無申告加算税は、①無申告の状態を是正した(申告した)タイミング、②本来納めるべき相続税額、の 2点により定まります。

 

無申告であることのリスクは、相続税額が大きいほど、無申告のまま放置し続けている期間が長くなるほど大きくなるということです。

相続税額については自由に調整できるものではありませんので、申告義務者ができるのは「早く申告手続を済ませること」といえます。

無申告加算税の税率

無申告加算税の税率が変動するタイミングは「税務調査の事前通知の前後」と「税務調査の前後」です。

 

通知が来る前に自主的に申告へ対応すれば、相続税額の大きさ問わず一律「 5%」の税率が適用されます。

 

一方、通知がなされてから税務調査が実施されるまでに申告をしたケース、税務調査を受けてから申告をしたケースについては、次のように税率が重く設定されています。

 

 

税務調査前に申告した

税務調査後に申告した

50万円の部分

10%

15%

300万円の部分

15%

20%

300万円超の部分

25%

30%

300万円超に対する税率は 202411日以降に期限を迎える申告に適用される。

 

なお、災害等によって申告ができなかった方など、正当な理由に基づいて無申告になっていた場合については適用外です。

無視を続けると財産を強制的に処分される

相続税の申告を無視し、さらに無申告加算税などの徴収にも応えず無視し続けると、最終的には強制的に自宅などの財産を没収され、処分されてしまいます。

 

通常は督促状などがまずは送付され、何段階かの通知を経て差し押さえへと至ります。申告が間に合わなかったからといって即座に強制執行を受けることはありませんので、税理士に相談するなど、申告や納付に向けての行動を起こせば大事になることは避けられます。

相続税申告に関するその他ペナルティ

相続税の申告や納付について適切に手続を行わないときは、無申告加算税以外にも「重加算税」や「過少申告加算税」「延滞税」などのペナルティを課されることがあります。

重加算税

「重加算税」は加算税のうちもっとも重いペナルティです。

 

取得した遺産を隠したり、受け取っていないことにしたり、意図的に脱税を狙ったときに重加算税が課されます。

悪質な違法行為ですので、税率も次の通りかなり重く設定されています。

 

  • 申告はしていたとき    : 35
  • 申告すらしていなかったとき: 40

過少申告加算税

重加算税が課されるべき事由、悪質な隠蔽などに基づいて過少申告をしていたときは前項で挙げた「重加算税 35%」が適用されます。

 

他方、単なる計算ミスなどが原因で過少申告になってしまっていたときは、「過少申告加算税」が課されます。

こちらは無申告加算税同様、問題を是正するための申告を行ったタイミングで税率が変動します。

 

もし、税務調査の事前通知を受けるまでにミスに気付き、自主的に申告を行うことができれば、過少申告加算税は課されません。

※ただし納付が遅れたことについて延滞税はかかる。

 

通知後の申告については、次の通り追加の相続税額が 50万円以下かそれ以上かで次のように適用される税率が異なります。

 

 

税務調査前に申告した

税務調査後に申告した

追加で納める税額のうち

50万円以下の部分

5%

10%

追加で納める税額のうち

50万円超える部分

10%

15%

延滞税

遅延利息としての意味合いを持つペナルティが「延滞税」です。申告をしなかったことや申告が間違っていたことに対する罰則ではなく、こちらは期日までに納税を行わなかったことに対する罰則になります。

 

そのため納付が行われるまでの期間に対応して、税額は膨れ上がっていきます。無申告加算税等も適切な申告がなされるタイミングによって税率が変動しますが、延滞税の場合はどんどんと金額が積みあがっていくのです。

そのため遅くなったとしても気付いたタイミングでできるだけ早く対応することが重要になってきます。

 

「本来の納付期限から 2ヶ月を過ぎたかどうか」で次のように税率が定まります。

 

  • 納付期限から 2ヶ月以内(次のいずれか低い税率)
    • 年7. 3
    • 特例基準割合 (A)1
  • 納付期限から 2ヶ月を過ぎた(次のいずれか低い税率)
    • 年 14.6
    • 特例基準割合 (B)3

 

※特例基準割合:金融機関の短期貸出金利の平均から算出される割合 下表のように、割合が変動することがある

 

期間

特例基準割合A

特例基準割合B

2021 年の1月1日~12月31日

2.5%

8.8%

2022 年の1月1日~12月31日

2.4%

8.7%

2023 年の1月1日~12月31日

2024 年の1月1日~12月31日

相続税申告の必要性の判断

相続税の申告が必要になる割合は、相続全件に対して 1割程度といわれています。そのため多くの方は申告をしなくても良いのです。

ただ、申告が必要かどうかは計算をしてみないとわからないため、一度税理士に相談して判断してもらうことをおすすめします。

 

簡単に必要性を判断する方法を紹介すると、次のようにまとめられます。

 

  1. 相続税課税対象の財産について評価額を調べる。
    • 相続財産
    • 遺贈された財産
    • 相続時精算課税制度に基づいて贈与された財産
    • 相続開始前 7年以内に贈与された財産
      ※この生前贈与加算の期間は、法改正の影響を受けて 2024年以降に行われる贈与に関して「相続開始前 7年以内」が適用されるが、 2023年以前に行われた贈与に関しては適用されず、「相続開始前 3年以内」の分が加算対象になる。
    • みなし相続財産(特定の要件を満たした生命保険金や死亡退職金等) など
  2. 葬式費用、借金などの債務の評価額を調べる。
  3. 法定相続人の数を調べる。
  4. 「①から②を差し引いた遺産の額」と「③の情報から計算される基礎控除額」を比較する。

 

課税対象になる財産の価額が基礎控除額を下回るときは、申告が必要ないと判断できます。

 

一方、基礎控除額以上の遺産があるときは申告が必要になる可能性が高くなります。

この時点で申告が必要と確定するわけではありませんが要注意です。細かな計算は税理士に対応してもらうようにしましょう。

申告が必要なときは10ヶ月以内に申告と納付を行う

計算の結果、申告が必要であるとわかったとき、「相続が開始されたことを知った日の翌日から 10ヶ月以内」の期限内に相続税の申告書を作成し、相続税の納付も行いましょう。

 

多くの場合は被相続人が亡くなった日の翌日から期日までの期間がスタートしますが、亡くなったことを知ったのが遅かった場合、あるいは自分が相続人であることを知ったのが遅かった場合は、その分期限もずれることになります。

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  • 所属団体
    • 東京税理士会京橋支部
    • 全国宅地建物取引業協会連合会
  • 経歴
    • 昭和63年株式会社伊勢丹
    • 平成4年税理士国家試験 合格
    • 平成9年株式会社タクトコンサルティング
    • 平成19年独立「薬袋税理士事務所」開業

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