遺言で遺産を受け取ったときの相続税|2割加算や控除の適用に注意しよう
遺言によって受け取った遺産にも相続税が課税されます。基本的な計算の流れも通常の相続と変わりませんが、受遺者(遺産を受け取る人)が相続人以外であるなど、故人との血縁関係によっては「2割加算」のルールが適用される場合があります。また、相続人のみに利用を認める控除制度もいくつかありますので、税負担が予想以上に大きくなるケースもあります。これらの注意点を確認していきましょう。
遺言で遺産を受け取っても相続税はかかる
遺言書によって遺産を無償で与える行為を「遺贈」と呼びます。
そして遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類があります。
- 包括遺贈:「全財産の2分の1を与える」といったように割合で指定するもので、受遺者は指定割合で相続人と同じような権利義務を負う
- 特定遺贈:「この土地を譲る」など特定の財産を指定して遺贈すること
いずれの場合も、遺贈によって取得した財産には相続税が課税されます。遺贈は贈与と似た性質は持ちますが、贈与税ではなく相続税の課税対象となることは理解しておきましょう。
受遺者も相続人と同じ計算方法
遺贈によって財産を受け取るとき、受遺者が相続人であろうとそれ以外の第三者の受遺者であろうと相続税計算の手順に変わりはありません。基本的には次の流れに沿って計算を進めます。
《 相続税の基本的な計算フロー 》
- 相続財産全体を確定させる
(被相続人の遺産総額を把握する) - 基礎控除額を差し引く
(遺産の総額から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引く) - 法定相続分で仮計算する
(法定相続人がそれぞれ法定相続分で相続したと仮定して相続税の総額を算出する) - 実際の取得割合で税額を按分する
(相続税の総額を、実際に各人が取得した財産の割合に応じて配分する) - 税額控除・加算を適用する
(各人に算出された税額に対し、配偶者控除などの税額控除や2割加算などを適用)
上記フローは相続人かどうかに関わらず、課税を受ける方全員に共通します。
しかし計算過程で適用する細かな制度・措置に差異が生じることはありますので、以下では特に受遺者が注意したいポイントを4つ挙げていきます。
受遺者の注意点①2割加算の適用
受遺者として遺産を受け取る方は、「2割加算」のルールに注意してください。
このルールは、「被相続人との血縁関係が一定以上離れた人が財産を取得したときは、通常の相続税額に対して2割が上乗せする」というものです。
このルールが適用されるのは、受遺者が、被相続人から見て次の関係にある場合です。
- 兄弟姉妹
- 孫(代襲相続人を除く)
- 祖父母
- 甥・姪
- 内縁の配偶者
- 友人・知人、法人など
言い換えると、被相続人の「配偶者」「子」「子を代襲相続した孫など」「父母」以外の方が遺贈で遺産を受け取ったときに2割加算が適用される、とも説明できます。
受遺者の注意点②控除制度の適用
相続税には多くの控除制度が用意されていますが、その多くは法定相続人を適用対象者と想定した仕組みになっています。たとえば以下の控除です。
- 18歳になるまでの年数に応じて控除が認められる「未成年者控除」
- 障害者について85歳になるまでの年数に応じて控除が認められる「障害者控除」
- 10年以内に続けて相続が発生した場合に控除が認められる「相次相続控除」
- 配偶者が取得した財産につき、1億6,000万円または法定相続分まで非課税にできる「配偶者控除」 など
受遺者が相続人としての立場も兼ねていなければ、これらの利用はできません。
一方で、「基礎控除」は常に誰でも適用を受けられます。そのため遺贈対象の遺産を含め、相続財産全体が基礎控除額を超えないなら(少なくとも財産が3,000万円以下なら)相続税を納める必要は基本的にありません。
受遺者の注意点③生命保険金の非課税枠の適用
死亡保険金や死亡退職金も受け取っている場合、これらはみなし相続財産として課税を受けます。
受け取ったのが法定相続人であれば「500万円×法定相続人の数」までの金額については非課税で受け取れるという措置があるのですが、受遺者が受け取り、その方が法定相続人でないのなら、非課税枠が使えません。
受け取った保険金等は満額相続財産一般と同じように課税対象として含めて計算しないといけません。
受遺者の注意点④登録免許税の違い
相続税とは別の税ですが、遺贈によって不動産を取得したときは、登記手続きにかかる登録免許税の税率が相続人とは異なる値になるということも理解しておきましょう。
相続人であれば登録免許税の税率は固定資産税評価額の「0.4%」で良いのですが、相続人以外の受遺者が遺贈により不動産を取得したときは、登録免許税の税率は「2%」が適用されます。
以上の違いを理解しないまま遺言を作成したり遺贈を受けたりすると、税負担が想定を超えてくる可能性が出てきます。遺言作成や遺贈を受ける際は、相続税に詳しい税理士に相談するなどして適切な税額を把握しましょう。
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税理士紹介Certified Public Tax Accountant
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