住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置とは?
利用条件や申請方法など
現金等の財産を贈与すると贈与税が課税されますが、住宅の取得を目的とした資金の贈与であって一定の条件を満たすときは、非課税で贈与をすることができます。特例を使わず多額の資金を贈与すると贈与価額の半分以上を徴収されてしまうこともありますので、お得に贈与をしたいという方は税制についてよく理解しておきましょう。
当記事ではそのうち住宅の取得に関する贈与で使える「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」について、概要・利用条件・申請方法を解説しています。
贈与税の基本と非課税特例
金銭に置き換えることが可能な財産を贈与したとき、贈与税が課税されます。原則的には「暦年課税」と呼ばれる方法により課税がなされ、年間110万円の基礎控除が適用できるものの、基礎控除額を差し引いた後に残った価額に対しては税負担が発生します。
もし1,110万円の贈与をしたときは基礎控除後の1,000万円に対して課税がなされて、税率40%・控除額125万円を適用した「275万円」を贈与税として納めないといけなくなります。
祖父から18歳以上の孫、親から18歳以上の子など一定の関係にある人物間の贈与であれば、特例税率が適用可能ですが、この場合でも「210万円」が贈与税として発生します。
非課税措置の概要
上記の計算方法によるのが基本です。
しかし贈与税ではいくつか非課税措置がとられており、「住宅取得等資金の贈与」「教育資金の贈与」「結婚・子育て資金の贈与」など特定の条件を満たすときに一定額まで非課税にすることができます。
このうちの住宅取得等資金の贈与とは、自宅を購入するためのお金や新築・増改築をするためのお金を贈与することを意味しており、非課税措置が利用できるときは1,000万円まで贈与税の負担なく資金を受け取ることが可能となります。
非課税限度額は500万円~1,000万円
「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」によって1,000万円の非課税枠が使える場合、上記の例のように1,110万円の贈与をしても税負担が0円になります。基本的な計算をする場合に比べると200万円以上の節税効果が得られるのです。
ただし1,000万円まで非課税にできるのは、贈与した資金の目的が「省エネ等住宅」の取得等にある場合に限られます。省エネ等住宅とはエネルギー使用の合理化に大きく貢献する性能を持つ家屋のことであって、具体的には次のいずれかの性能が証明された家屋のことを指しています。
- 「断熱等性能等級4以上」、または「一次エネルギー消費量等級4以上」
- 「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上」、または「免震建築物」
- 「高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上」
※2024年以後の贈与において、新築または建築後使用されていない家屋を取得するときは、断熱等性能等級は4以上ではなく5以上、一次エネルギー消費量等級は4以上ではなく6以上が要件となる。
参照:令和6年度税制改正の大綱
住宅性能証明書などによって省エネ等住宅であることの証明ができないときは「500万円」が非課税限度額となります。
利用条件
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を利用するには、当事者や取得等をしようとする住宅、贈与の時期に関して定められた条件を満たさなければなりません。
贈与を受ける方の条件
贈与を受ける方は次に掲げるすべての条件を満たさないと非課税措置を利用することができません。
贈与をする前には以下の内容をチェックしておきましょう。
- 資金をもらい受けた時点で贈与者の直系卑属である
※直系卑属:子どもや孫など。
※子どもの配偶者は養子縁組をしない限り直系卑属には該当しない。 - 資金をもらい受けた年の1月1日時点で18歳以上である
- 資金をもらい受けた年の所得は2,000万円以下である
※新築等をする家屋について床面積40㎡以上50㎡未満のときは1,000万円以下が所得要件になる。 - 平成21年~令和3年までに同じ非課税措置を利用していない
- 取得する家屋が、自己の配偶者・親族等からの取得ではない
- 資金をもらい受けた年の翌3月15日までに当該資金を家屋の新築等に充てて、居住をするまたは居住することが確実な状態に至る
- 資金をもらい受けた時点で日本国内に住所がある
※一定の場合は国内に住所がなくても非課税措置を利用できる。
住宅に関する条件
取得等をする住宅も、何でも良いわけではありません。次に挙げる条件を満たしている必要があります。
住宅に関する条件 | |
---|---|
新築・取得の場合 | 新築・取得した家屋の床面積は40㎡~240㎡、かつ、50%以上の部分が受贈者の居住に使われること。 ※登記簿上の床面積で判定。 ※マンション等の場合は専有部分の床面積をチェック。 |
取得する住宅は次のいずれかに該当すること。 ・使用されたことがないもの ・使用されたことがあって、昭和57年1月1日以後に建築されたもの ・使用されたことがあって、地震に対する安全性に係る基準に適合するもの ・上記いずれにも該当しないものの、取得日までに耐震改修を実施することを都道府県知事等に申請し、贈与を受けた翌年3月15日までに耐震基準に適合するもの | |
増改築等の場合 | 増改築等後の家屋の床面積は40㎡~240㎡、かつ、50%以上の部分が受贈者の居住に使われること。 ※登記簿上の床面積で判定。 ※マンション等の場合は専有部分の床面積をチェック。 |
増改築等について、一定の工事に該当することが「確認済証の写し」「増改築等工事証明書」「検査済証の写し」などによって証明されること。 | |
工事費用は100万円以上であること。 ※工事費用の50%以上は、居住用部分に対するものでなくてはならない。 |
なお、取得や増改築どの場合であっても、対象の家屋は日本国内に存在していなくてはなりません。
適用期限に関する条件
2023年12月22日の閣議決定に基づき「令和6年度税制改正の大綱」が公表されています。
参照:令和6年度税制改正の大綱
それ以前は2023年12月31日までに行われた贈与が当該措置の適用対象であったのですが、適用期限が3年延長されています。そのため少なくとも2026年の12月31日までにする贈与に関しては、その他の条件を満たすことで非課税措置を受けることが可能になっています。
恒久的な措置ではありませんので、期限にも注意して計画的に資金の贈与を実施するようにしましょう。
非課税措置の申請方法
非課税措置を利用するには所定の手続を行う必要があります。
そこで資金をもらい受けた年の3月15日までに「非課税措置を利用する旨を記した贈与税の申告書」を作成して提出しましょう。
戸籍謄本、住宅の新築・取得等に関する契約書の写し、などの書類も添付します。
提出先は納税地の所轄税務署です。
上述の通り、省エネ等住宅の要件を満たすときはその性能に関する証明書を添付することも必要です。
これによって非課税枠が500万円から1,000万円まで広がり、節税効果にも大きな差が生まれます。
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