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生前贈与した財産と相続税の関係|課税されるケース・課税されないケース

生前贈与は相続税対策として一般に有効ですが、「相続財産でないなら必ず相続税はかからない」という考えは正しくありません。一定期間内に行われた贈与は相続税の計算に取り込まれるルールがあるのです。

どんな贈与財産が相続税の課税対象になり、どんな財産であれば対象とならないのかを整理しておきましょう。

生前贈与加算とは

被相続人が亡くなる前の一定期間内に行われた贈与財産を、相続財産に加算して相続税を計算する法的なルールがあります。

 

これは「生前贈与加算」と呼ばれ、死亡直前の駆け込み贈与によって相続財産を減らし、相続税を過度に回避することを防ぐ目的があります。

 

生前贈与加算の対象者は「相続や遺贈によって財産を受け取った人」で、法定相続人でない孫や子の配偶者への贈与であれば原則として加算の対象外です(遺言等によって相続財産を受け取っているときは対象となる)。

 

※近年の税制改正で加算対象期間が拡張され、
相続開始前「3年以内」から「7年以内」へと延長された。

この変更は202411日以降に行われた贈与に適用されるため、完全に7年ルールへ移行するのは2031年以降に発生した相続からとなる。また、延長分にあたる相続開始前47年以内の分に関しては、「その期間に贈与された財産の合計額から100万円を差し引いた額のみ」が加算対象となる。

相続税の課税対象になる・ならないケース

生前贈与した財産が相続税の対象となるかどうかは、贈与の種類や時期、金額によっても異なります。

 

いくつかのパターンに分けて整理してみましたのでご確認ください。

 

贈与の種類

生前贈与加算

注意点

暦年贈与

(原則的な課税方式に基づく贈与)

あり

・年110万円(基礎控除額)以下でも対象

・前47年分からは100万円を控除できる

相続時精算課税制度に基づく贈与

あり

(一部なし)

2,500万円の特別控除を使った分も含め相続財産に合算して精算する

・年110万円の基礎控除分については対象外

配偶者への居住用不動産の贈与

なし

・婚姻20年以上かつ、居住用不動産または取得資金に限る

2,000万円+基礎控除110万円まで対象外

住宅取得等資金の贈与

なし

・直系尊属からの贈与で、非課税特例の適用を受けた額の範囲で対象外

教育資金一括贈与

なし

・非課税特例の適用分は対象外

・贈与者死亡時に残額があるときは相続財産に加算される

結婚・子育て資金の一括贈与

なし

・非課税特例の適用分は対象外

・贈与者死亡時に残額があるときは相続財産に加算される

 

贈与税を非課税にできる特例を使った場合は、基本的にその適用範囲内で生前贈与加算の対象からも外れます。
一方で、特段の制度を利用しない暦年課税ではまるまる加算対象となりますし、そもそも相続財産に加えて精算することが想定されている相続時精算課税制度による贈与でも加算対象となります。

受贈者別の適用関係

贈与内容だけで加算されるかどうかが決まるのではなく、上述のとおり、贈与を受ける方の立場や状況でも結果は変わってきます。

 

受贈者

取得状況

生前贈与加算

相続人として遺産も取得している

あり

相続放棄し、遺産は一切取得していない

なし

子が先に死亡し、孫が代襲相続人として相続

あり

相続人ではなく、遺産は一切取得していない

なし

子の配偶者

配偶者が遺産や保険金を一切取得しない

なし

 

たとえば生前贈与が暦年贈与として行われており、それが相続開始の直前だとしても、相続人にならない孫への贈与であったのなら生前贈与加算は行いません。贈与時点で贈与税の申告や納付を行うだけで足ります。

 

一方で、その孫が遺言書の記載に従い遺産を受け取っていたのなら、過去の贈与分もあらためて相続税の計算に含めないといけなくなります。そのため受取人が「相続人かどうか」だけでなく、遺贈も含めて「相続税の課税対象となる遺産をもらっているかどうか」に着目することが大切です。

生前贈与加算を考慮した相続対策の留意点

以上を踏まえると、生前贈与を相続対策として活用するなら次の点に注意が必要です。

 

  • 早期の贈与ほど有利である
    ・・・加算対象期間は最長7年のため、長期にわたって贈与を続けることで持ち戻しの対象外となる財産を増やせる。
  • 相続時精算課税制度の選択は元に戻せない
    ・・・相続時精算課税制度を一度選択すると、同じ当事者間ではその後も同じ制度が適用され続けるため、資産承継や相続税対策など将来設計をしっかり立てておく。
  • 特例の適用期限に注意
    ・・・教育資金一括贈与の非課税特例など、各種非課税特例には期限が設けられている。延長されるケースもあるが、利用可能な期間は要チェック。
  • 贈与以外の相続税対策も視野に入れる
    ・・・節税対策の手法は多岐にわたるため、生前贈与にこだわらずさまざまな手法を組み合わせるなどして最適な形を見つけていく。

 

生前贈与に関しては、遺産分割や相続税申告の場面で問題になることがあります。課税関係や計算は複雑で、税制改正によって有利不利が変わることもあります。相続税全体への影響を見据えた設計が重要であるため、着手前に税理士へ相談することをおすすめします。

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  • 所属団体
    • 東京税理士会京橋支部
    • 全国宅地建物取引業協会連合会
  • 経歴
    • 昭和63年株式会社伊勢丹
    • 平成4年税理士国家試験 合格
    • 平成9年株式会社タクトコンサルティング
    • 平成19年独立「薬袋税理士事務所」開業

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