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相続税が払えない場合はどうしたらいい?6つの対処法を紹介

大きな遺産があるとき、相続税が課税されて相続人に税金を納める義務が課されます。

税金は原則として現金で納めなければならず、相続で財産を手に入れたとしても相続税が払えないという事態は起こり得ます。

 

このような場合でもすぐに諦める必要はありません。当記事で紹介する手段が利用できないか検討してみましょう。

相続税を払わないまま放置するリスク

「相続税を払うだけのお金がない」という理由で納税義務が免除されるわけではありません。

どうせ払えないからと何ら対応せず放置することにはさまざまなリスクが伴いますので絶対避けるようにしましょう。

 

例えば税制上次のようなペナルティが予定されています。

 

  • 無申告加算税の徴収

期限内に申告しなかったことに対するペナルティ。

  • 延滞税の徴収

期限内に払わなかったことで積み重なる、利息相当のペナルティ。

 

また、払うことができないからと意図的に財産を隠したりすると「重加算税」が徴収されてしまいますし、金額を低く見積もって申告したときは「過少申告加算税」が徴収されてしまいます。

 

ペナルティにより本来納めるべき税額より大幅に増えてしまうおそれがありますので、諦めて放置することはないようにしましょう。

相続税が払えないときの対処法

相続税を払うことがそのままの状態だとできない場合、次の対処法を検討しましょう。

 

  • 延納する
  • 物納する
  • 相続財産を売却する
  • 借入をする
  • 現金や預貯金の取得割合を増やす
  • 相続分を減らす

 

これらの手段によりなんとか対応できる可能性があります。ただしそれぞれ利用できる条件やデメリットもありますので手段の選択にあたっては慎重になる必要があるでしょう。

延納する

現金一括での納付が原則ではあるものの、次の要件を満たすときは「延納」として、分割払いで納めることも認められています。

 

《延納の要件》

  • 相続税額が10万円を超えている
  • 金銭での納付が難しい理由があること
  • 延滞税・利子相当の担保を提供すること
  • 延納申請書を税務署長に提出すること

 

上記は基本的な要件であり特定の場合には要件が緩和されるケースなどもあります。

延納を検討するときは税務署や税理士に確認を取り、要件の詳細を確認しておく必要があります。

 

なお、延納の期間は最高で20年間です。ただし延納利子が発生しますので可能な限り早めに完納をした方が良いでしょう。

物納する

延納によっても納付が困難であるときは、相続財産を使って「物納」することも可能です。

※相続時精算課税制度に基づいて生前贈与された財産、納税猶予をされている非上場株式については物納できない。

 

ただし延納によっても払えないことを認めてもらう必要があります。税務署での手続も必要となります。

 

また、物納できる財産の種別に制約があることにも注意が必要です。

 

1順位~第3順位まで区分されており、原則として先順位の財産から物納することが求められます。

 

  • 1順位:不動産や上場株式、国債・地方債 など
  • 2順位:非上場株式 など
  • 3順位:動産

相続財産を売却する

物納では財産そのままの形で納めることになりますが、納税者の方で「相続財産を換価処分して現金化する」というやり方もあります。

 

そもそも物納は延納もできない場合に限って認められるものですし、税務署での手続なども必要です。

しかし相続財産の売却であれば納税者の方で自由に進められます。さらに、物納だと「相続税評価額」でその財産を納めたことになり、「時価」より低くなるケースがあります。

物納できる財産の第1順位にある不動産は特に評価額が下がりやすいため、売却して現金化した方がお得になる可能性も考えるべきです。

 

しかしながらご自身で売却をするときは①想定を下回る金額でしか売れない可能性があること、②現金化されるまでに時間がかかること、に注意しないといけません。

 

不動産業者にいったん買い取ってもらうという手法を取ることで手早く売却することはできますが、この場合は通常の取引価格より低くなるのが相場です。

借入をする

「銀行などから借入をする」という対処法もあります。

延納と同じく利子がかかるため、どちらの方がトータル少ない負担で税金を納められるのか、計算する必要があるでしょう。

 

また、借入の場合は金融機関によって利子の設定が異なるため、いくつかの金融機関を比較することも大事です。

現金や預貯金の取得割合を増やす

同じ金額の相続でも、1億円相当の不動産を取得するのと、現金1億円を取得するのとでは、納税資金問題の結果は大きく異なります。

 

不動産のようにそのままだと納税ができない財産の場合、相続人の方がもともと所有していた財産から納税資金を捻出しないといけません。

 

これに対して現金を相続した場合、相続財産をそのまま納税資金に回すことができます。

預貯金や、その他換価が容易な財産についても同様です。

 

そのため現金や預貯金のようにすぐに納税資金とすることができる財産の取得割合を大きくすることで対処することも可能です。

あらかじめ「相続税が払えないかもしれない」とわかっているのであれば、このように遺産分割協議の時点で調整を図ること大事です。

相続分を減らす

現金や預貯金の取得割合を増やしても税金を払うのが難しいという場合は、「相続する財産を少なくする」という選択肢もあります。

 

必ずしも法定相続分で取得する必要はありませんし、どうせ売却や物納をすることになるのであれば、初めから受け取らない・別の相続人に取得してもらう、といったことも検討すると良いかもしれません。

 

なお、一切の相続財産を受け取らないときは相続放棄という手続が法律上用意されています。おおよそ相続開始から3ヶ月以内の期限にかかるため判断は早くしないといけませんが、隠れた債務を承継するリスクを回避できるなどの利点もあります。

相続税の計算・控除の利用等を見直すことも重要

相続税が払えないと思われる場面でもいくつか対処法はありますが、不動産の売却や借入、相続放棄など、なかなか簡単に決断できるものではありません。

 

いったん手続を進め始めると引き返すことも難しくなるため、大きな決断を下してしまう前にまずは相続税の計算を再度行うことをおすすめします。その際、ご自身で対応するのではなく税理士に対応してもらいましょう。

そして、利用できる控除や特例の仕組みを見逃してはいないか、プロの視点で何かできることはないか探ってもらうと良いです。

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  • 所属団体
    • 東京税理士会京橋支部
    • 全国宅地建物取引業協会連合会
  • 経歴
    • 昭和63年株式会社伊勢丹
    • 平成4年税理士国家試験 合格
    • 平成9年株式会社タクトコンサルティング
    • 平成19年独立「薬袋税理士事務所」開業

事務所概要Office Overview

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