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相続税の税率や計算方法について具体例を使って解説

遺産相続をしても相続税の負担がかかるケースとそうでないケースがあります。

適用される税率についても状況に応じて変動しますし、計算方法は複雑です。

税理士に任せて計算してもらうのが一番安全ですが、「自分でも税額の決まり方を知っておきたい」「だいたいどれくらいの税率が適用されるのか把握したい」という方に向けて、ここでいくつか具体例とともに相続税についての解説をしていきます。

相続税の基本

相続税に関してまず押さえておきたい大事なポイントはこちらです。

 

  • 基礎控除額が大きいため税の負担が生まれるのは相続の発生件数の1割程度
  • 税率は遺産の大きさとそれに対応する法定相続分により決まる
  • 申告・納付の期限は10ヶ月以内

 

相続人に対して一定額の負担を強いる仕組みにはなっておらず、取得した遺産の大きさに応じて金額が決まります。
また、常に適用可能な基礎控除が他の税に比べて大きいことから、税の負担がかかる方は実際のところあまり多くありません。

 

ただ、もし相続税の申告・納付義務が課されるのなら一定期間内に計算を行い、書類を作成し、提出しないといけません。

期限に間に合うよう遺産分割協議なども進めておく必要がありますので、注意が必要です。

税率の適用について

税率を調べるときは、遺産の総額を法定相続分で分割し、いったん仮で各々の取得額を算出します。

そのときの遺産の額を下の速算表に当てはめて、適用する税率と控除額を判定します。

 

法定相続分に対応する遺産の額

適用される税率

適用される控除額

1,000万円

10%

3,000万円

15%

50万円

5,000万円

20%

200万円

1億円

30%

700万円

2億円

40%

1,700万円

3億円

45%

2,700万円

6億円

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

出典:国税庁HP 相続税の速算表

 

もし、法定相続人が長男長女の2人で遺産総額が1億円だとすれば、法定相続分に従って分割すると各々5,000万円ずつの取得ということになります。
速算表を見ると、5,000万円に対しては「20%の税率」と「200万円の控除」を適用することがわかります。これを2人分計算するのです。
遺産総額である1億円をそのまま用いて「30%の税率」と「700万円の控除」を適用してしまうと税額が正しく算出できないため注意してください。

相続税額の計算方法

税額を計算するときは、まず相続人や受遺者がそれぞれ取得した財産の価額を調べ、それらを合計します。

純粋な相続財産のほか、以下の財産についても計算に含めてください。

 

  • 遺言内容に従い遺贈された財産
  • 死因贈与の契約に従い贈与された財産
  • 生命保険金や死亡退職金等のみなし相続財産
  • 相続時精算課税制度に基づく贈与財産
  • 生前贈与加算の対象となる贈与財産
  • 債務や葬式費用(これらは控除の対象)

 

次に基礎控除を適用します。控除額は次の算式に従い、基礎控除後に残った「課税遺産総額」が0円であれば申告・納付は不要です。

 

基礎控除額 = 3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

そして上述の通り、課税遺産総額を法定相続分で按分して税率を適用。それぞれの金額を再び合計して「相続税の総額」を算出します。

 

さらに実際の取得割合を乗じ、各自の負担すべき税額が明らかになります。

パターン別に計算例を紹介

相続税の計算例を、パターン別にいくつか紹介していきます。

大きな資産が残っていないとき

遺産の総額が3,000万円以下の場合、基礎控除の適用により課税遺産総額が0円となりますので申告も納付も不要であることがわかります。

 

上に示した算式から、少なくとも3,000万円を超える遺産がなければ相続税の負担は生じません。

仮に4,000万円の遺産があっても法定相続人が2人いると基礎控除額は最大で4,200万円となるため、やはり申告や納付は必要なくなります。

相続人が1人のとき

相続人が1人、遺産を取得する人物が1人しかいないときは、計算が簡略化できます。

 

というのも計算過程では上の通り按分する過程が複数回出てくるところ、相続人が1人だと何度も按分する必要がありません。

もし基礎控除後の課税遺産総額が6,000万円だとすれば、その金額にそのまま税率20%と200万円の控除を適用でき、相続税の総額および相続人の税額は1,000万円と算出できます。

※使える税額控除があるときは、この金額に対して適用していく。

相続人が複数人のとき

前項の例と同じく基礎控除後が6,000万円だとしても、相続人が2人(両者とも被相続人の子とする。)いると、いったん法定相続分で按分して税率の適用をしないといけません。

 

3,000万円ずつとすれば税率は15%で控除額は50万円です。そこで1人あたり400万円で、相続税の総額は800万円になります。

 

もし遺産分割協議で3/41/4の割合と決めたときは、一方の相続税は800万円×3/4600万円、他方の相続税は800万円×1/4200万円です。

生命保険金を受け取ったとき

生命保険金を受け取っていたときは、遺産の総額を計算する際に注意が必要です。

 

相続人が生命保険金を受け取るときは次の算式から導き出される金額までを非課税にできますので、この非課税枠を超えた分のみを計算に加えます。

 

非課税枠 = 500万円×法定相続人の数

 

もし、唯一の相続人が生命保険金1,500万円を受け取り、その他の財産が5,000万円だとすれば、遺産の総額は5,000万円+(1,500万円-500万円)=6,000万円と計算します。

 

続きは上の例と同じように計算していきます。

孫が遺産を受け取ったとき

孫が遺産を受け取っていたときなど、被相続人から見た血縁関係が一定以上離れると、「相続税の負担が2割増し」になることに留意してください。

 

2割加算の適用を受けるのは、遺産を取得したのが“亡くなった方の一親等の血族または配偶者以外”である場合です。

一親等とは例えば子・親などのことであり、祖父母や孫、兄弟姉妹なども2割加算の対象ということになります。

 

孫を養子にして相続人に加えるケースもありますが、この場合は子になるとはいえ2割加算の対象からは外れないため注意が必要です。
※子を代襲相続した孫なら対象外。

 

ほとんどの計算過程は同じで、各自の税額を算出した後に次の計算することで当該人物の納付額が調べられます。

 

2割加算対象者の算出税額 = 各人の税額控除前の相続税額×1.2

 

未成年者控除や障害者控除など、各種税額控除の適用前に加算することも覚えておきましょう。

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  • 所属団体
    • 東京税理士会京橋支部
    • 全国宅地建物取引業協会連合会
  • 経歴
    • 昭和63年株式会社伊勢丹
    • 平成4年税理士国家試験 合格
    • 平成9年株式会社タクトコンサルティング
    • 平成19年独立「薬袋税理士事務所」開業

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